士郎正宗氏原作の傑作SF作品 『攻殻機動隊』 のアニメ新シリーズ 『攻殻機動隊ARISE』。
原作版を含めると押井版(劇場版攻殻)、神山版(SACシリーズ)に続く "第四" の攻殻とうたわれています。 物語は素子ひきいる部隊のメンバーがまだ公安9課に加わる前の話。
この新シリーズは、ガンダムUCなどと同じ様に、通常のTV放送ではなく劇場公開・BD/DVD販売・ネット配信という媒体で展開される形式を取っています。
攻殻ARISE は全部で4話が予定されており、来月6月22日からは第一弾の 『border:1 Ghost Pain』 が劇場公開およびネット配信されます。
その1話目の先行上映会が約1ヶ月前の 5月24日に東京と大阪で行われました。 ということで行ってきましたので感想など含めてチラリとご紹介。
※ 露骨なネタバレは含まれませんが、前情報は一切遮断する!という方はこの記事を続けて読むことはお控え下さい。
面白かったですよ!
いや、素直な感想としては単純に 「面白かった」 と言うのが正直なところです。
全4話の初回、導入回として観る者を魅了する要素はふんだんにありました。
『攻殻』 シリーズのバックボーンを上手く利用し "サスペンス" をコンセプトとした58分間の上映時間たっぷり引き込む脚本しかり、エフェクトで誤魔化す事無く魅せてくれる肉弾戦のアクションシーンしかり、場面を盛り上げてくれる音楽しかり、どれも作り手の本気がうかがえる作品に仕上がっていました。
しかし・・・
- 熱烈な原作ファンからすれば、原作1巻に話を繋がらせるには矛盾点がいくつか見受けられますし、
- 熱烈なSACファンからすれば、声優は全員違うし、音楽は菅野よう子ではないし、キャラクターデザインも何か初代の劇場版攻殻みたいになってるし、
- 熱烈な作画マニアからすれば、劇場公開するには少し落ちた作画レベルで所々おかしい場面があるし、
ただし私の印象ではこういった感想は全体の1割にも満たない(しかし声が大きいのが難点)ヘビーユーザが受ける事で、他の一般消費者には十分オススメできる作品に仕上がっていると思いますよ。 攻殻機動隊という世界観を使って、まったく新たな作品を、まったく新たなユーザに展開するという試みは、成功しているんじゃないでしょうか。
私個人的な立ち位置としては、過去に何度も 「原作レイプ」 を受けてきた原作ファンなので、出来上がった作品が 「一つのエンターテインメント作品として成立する品質」 を持っていれば何も言うことはありません。 むしろ士郎正宗氏が作り出した世界観を、別の畑の表現者が一流のパフォーマンスとして魅せてくれる事に感謝しているくらいです(オオゲサ?)。 それは劇場版攻殻しかり、SACしかりです。
そして今回の 『第四の攻殻』 も、新たな表現者が魅せてくれる新しい作品として十分楽しませてもらいました。
まぁそんな感じでこの 『攻殻ARISE』 は オススメ です。
是非来月は劇場またはネット配信で体感してみてください。
上映の最後に次回2話のタイトルも発表されました。
- border:1 Ghost Pain (ゴーストの痛み)
- border:2 Ghost Whisper (ゴーストのささやき)
そうそう、先行上映会の東京の会場には、本作のマスコット(?)キャラクターであるロジコマの立像が展示されていましたのでご紹介をば。
ちなみに声優さんは沢城みゆきさんでした。 なかなかかわいい声でした!